掃除の歴史
1、片づけるという発想
家事の代表格と言えば、まず、お掃除です。みなさん、小まめにされておられますか。毎日されるなんて方もおられるようですが、大変です。ところで、掃除とうものがいつ頃から、我々の生活の中に根付いたのかご存知でしょうか。これは相当に古いですよ。というのも、太古の昔、人類が木の上から地上へと降りてきて生活するようになってから、曲がりなりにも掃除らしき行いはあったようなのです。
というのも、そもそもまだ人類が木の上での生活をしていた頃には、自分の周囲に片づけるモノなど無かった筈ですから、自然、そのころの人類は掃除などとはまったく無縁であったわけです。ところが、今から約数十万年前の地球が乾燥期に遭遇するや、それまで人類の棲みかであった木々たちが枯れて無くなってしまったのです。そうなると、人類は嫌でも地上に降りてこなければならなかったわけですが、その地上は木の上とは打って違って危険がいっぱいだったのです。
人類の先祖たちは、まず自分たちの身の安全を最優先に考えました。そこで、身を隠す穴倉のような所に、集団で生活するようになり、それが家族へと進化したようなのです。一つの穴倉で集団での生活は、さぞや窮屈だったでしょうね。あるいは人間だけでも手狭だったかもしれません。そんな狭い空間に邪魔なモノなどがあったら、やっぱり嫌だったでしょう。
たとえば、狩りに使った道具などが放りっぱなしになっていたら、小さい子どもがそれに触れて怪我などもしかねません。自然、それらの道具は、どこか一か所に集めて保管しておくなどのような知恵も働いたことでしょう。そんな片づけるという発想から、少しずつ進化して掃除という概念が生まれていったとしてもけっして不思議ではありません。
2、日本にける掃除の歴史
さて、ではわが日本における、掃除の歴史はどうなのでしょう。日本人はキレイ好きなのでしょうか。こちらも相当に古くからあったようです。7世紀ごろの日本、つまり飛鳥時代にまでさかのぼるようです。
しかしながら、この時代の掃除は、現代のぼくらが言うところの掃除とはたいぶ趣が異なっていたようです。すなわち、家事の代表格のような現代の掃除などではなく、精神文化としての意味合いが深かったようです。宗教性が高く、掃除は宗教と密接な関係にありました。
奈良時代に編纂された日本最古の歌集「万葉集」には、面白い話があります。旅に出た恋人の無事を願って、「掃除をしない」から「どうぞ無事に帰ってきて」と箒神に祈ったというのです。現代においても、掃除をまったくしない若い娘さんたちがおられるようですが、彼女たちも彼氏の無事を祈っておられるのでしょうか。
このように、一種の神事だった掃除が、一般の庶民にまで根づいたのは、平安時代、8世紀~12世紀ごろになってからでした。といっても、この時代の庶民は、ほとんど土間での生活でしたから、掃除といっても煮炊き場であるカマドの周辺だけであったようです。
この時代、掃除が庶民の間にまで根づいたとはいっても、まだまだ神事的な色彩は歴然と残されていたようです。平安時代の巻物、「年中行事絵巻」には、祭りに参加している者たちの手には、なんと箒などの掃除用具が描かれているのです。これは、「払いのける、取り除く」との意味で、疫病神や死者の怨霊をなだめ鎮めるためであったとのことです。
3、今よりエコだった、江戸時代
江戸時代は、エコ時代だったってご存知でしたか。というのも、この時代は資源に乏しく、原材料が大変に貴重なものだったからです。どんなものでも、壊れたものはともかく直してまた使うのが当たりまえの時代であったのです。提灯の張り替えや錠前、そろばんなどに至るまで、業者はそのほとんどが修理で生計を立てておりました。壊れたモノを下取りして新品を売るなんてのは、副業的な仕事に過ぎなかったのです。
ちょっと壊れたので買った所へともっていったら、すぐにこれは寿命ですと言われ、新品の買い替えをすすめられる今の時代とは、ちょうど正反対ですね。
その他にも、修理の専門業者や紙くずや古着、果ては肥えや灰、なんと髪の毛まで集めて回る回収業者がいたそうです。このような徹底したモノの有効利用は、当然、ゴミとして出るモノが非常に少なくなりました。その結果として、当時すでに世界都市のレベルまで発展していたにもかかわらず、江戸の町は非常にエコを実現させていたのです。